自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する私的年金制度「iDeCo」。
節税しながら資産形成ができる制度ですが、どのくらいの節税効果があるのか具体例で見ていきましょう。
iDeCoがどんな制度なのかはiDeCo公式サイト等にわかりやすくまとまっているので以下のリンク先からご確認ください。
iDeCo公式サイト / SBI証券のiDeCo
<この記事でわかること>
・iDeCoの3つの税制優遇
・iDeCoの掛金全額所得控除の具体的な節税額(年収500万円の場合の一例)
iDeCoの3つの税制優遇
税制優遇その1:掛金が全額所得控除になる
納税者の生活状況に合わせて、所得額から一定の金額を差し引く制度を「所得控除」といいます。 所得税や住民税は、1年間の所得に決まった税率をかけて算出します。その際、所得控除を適用するとことで税率を掛ける前の所得が低くなり結果的に納税額を少なくすることができます。iDeCoの掛金は全額を所得控除とすることができるため、その年の所得から掛金全額を差し引くことができます。
所得税 =(所得 - 所得控除) × 所得税率
iDeCoの掛金全額所得控除でどのくらい節税できる?
iDeCoの拠出可能上限額は、自営業者等、会社員・公務員等、専業主婦(夫)等で異なります。会社員・公務員等の場合は所属会社に企業年金制度があるかどうかでも上限額が変わってきます。
以下のサイトで簡単にシミュレーションができますので、ご自身の限度額や節税金額を確認してみましょう。
SBI証券のiDeCo-節税シミュレーション
シミュレーション例
■会社員/年収500万円/企業年金なしの場合
拠出限度額:月額23,000円(年額276,000円)
年間節税額:55,800円
■会社員/年収500万円/企業型確定拠出年金ありの場合
拠出限度額:月額20,000円(年額240,000円)
年間節税額:48,500円
所得控除の具体的な手続方法
サラリーマンの場合は年末調整書類の「給与所得者の保険料控除申告書」を記入するとき、書類右下の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と書かれている部分にiDeCoで積み立てた金額(年額)を記入します。
毎年10月から11月ごろに、国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」原本を添付して所属会社の担当部署に提出すれば手続きは完了です。
税制優遇その2:運用益が非課税になる
通常、金融商品を運用すると運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoでは非課税で再投資されます。iDeCoに加入するだけで非課税と名なるため、特別な手続きは必要ありません。
税制優遇その3:受取時に控除を受けられる
iDeCoの年金資産(=拠出した掛金と運用益)の受取時期は、原則として60歳から75歳になるまでの間でご自身で自由に決めることができます。受取方法は一時金として一括で受け取る、年金として受け取る、一時金と年金を組み合わせて受け取るなど選択することができます。受け取り方に応じて「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象になり、一定金額まで非課税で受け取ることができます。
注意点
60歳まで引き出せない
iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度であるからこそ、税制の優遇が行われることになっています。そのため基本的には60歳まで引き出せません。※要件を満たせばiDeCoを脱退して一時金を受け取ることができますが、かなり限定的であるため、60歳までは引き出せないと考えていた方がよいでしょう。
手数料がかかる
iDeCoに加入するときや企業型確定拠出年金からの移換時、掛金の納付時などに手数料が差し引かれます。また、商品を運用するときなどにも金融機関ごとに管理手数料がかかります。
少額の運用の場合や元本確保型の商品だけを運用する場合、手数料が運用利回りを上回ってしまうこともあるので注意が必要です。
まとめ
iDeCoもNISAと同様に投資信託を主とした資産運用を行います。どちらも運用益に税金がかからない点は共通していますが、iDeCoは掛金を全額所得控除できたり受取時の控除があるなど節税効果が高いです。一方で途中で資金を引き出すことは基本的にできないため、掛金の設定には注意しましょう。iDeCoとNISAそれぞれでの運用とi、DeCoでの節税両方を活用して効果的な資産形成を考えましょう。
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